本レビュー

『52ヘルツのクジラたち』を読んだ感想!奇蹟は起きる。想いは伝わる。救いは連鎖する。【書評】

こんにちは、りりーです。

 

今回も参加してくれた方からのおススメです♪

 

いつも良くしてもらっているこの方、白獅子さん@thanksalwayscom)からはこの作品!

 

2021年本屋大賞受賞!!

52ヘルツのクジラたち/町田その子

です!!

 

 

これTwitterでも読んだ報告をちらほら見ていて、気になっていたんですよね。

やはりご縁がありました!

『52ヘルツのクジラたち』はこんな感じ!(全体像)

全体像をまとめてみました。

  • 文の口調:20代女性訳アリ主人公の目線・ちょっとメンヘラ(しかたない
  • 明るさ:★★(最終的に光が差す話だがテーマは重たい)
  • 読みやすさ:★★★★(分かりやすいストーリー)
  • ページ数:260ページ(人によっては読むのが辛い可能性あり)
  • 本を一言で表すと孤独から人が救われる連鎖の話

本を一言で表すのはすごく迷いましたが、この言葉にしました。

内容

あらすじ

舞台は大分の海街。

主人公、貴湖(「きこ」だけど友人からのあだ名は「キナコ」)は亡くなった祖母が暮らしていた一軒家に引っ越してきた。一人で。

狭いムラ社会。東京から引っ越してきた貴湖はたちまち住民の興味の対象。

ひっそり干渉されず暮らしたいのに、あらぬ噂まで立てられた挙句不必要なお節介もされ辟易&自暴自棄ムード。

だけど、貴湖には頼れる人なんていない。

アンさん、と名前を呼んでもその人物はいないのだ。

 

そんな中で一見女の子と間違う少年、52(名前はあるが貴湖がそう呼ぶ)に出会い、貴湖の家に寄り付くようになる。

貴湖は自身の境遇から52にただならぬ雰囲気を感じ取り、接触を重ねるうちに52の問題にたどり着く。

 

52は虐待を受けているのだ。それも実母(琴美)から。

 

貴湖は琴美と対話を試みるが、琴美は反省の色を示さない。

むしろ、「52を産んだから自分は不幸になった」と被害者ヅラする始末。

貴湖はカチンときて、「あの子は私が面倒を見ます。本当にそれでいいんですね?」と念押して琴美の「好きにしたら?ただし後で返しますって言わないでね」まで聞いたうえで52と過ごし始める。

 

ちなみに、

52はしゃべることができない。

筆談で52のことをあれこれ聞く貴湖。

「あなたの名前は?」と聞くと返ってきた文字は『ムシ』と。

その名前ではあなたを呼べない、と貴湖は思い、

代わりに「52ヘルツで鳴くクジラの音」を聴かせて喜ばれたことから、52と呼ぶことにしている。

52ヘルツで鳴くクジラ

他のクジラが聞き取れない高い周波数で鳴く、世界で一頭だけのクジラ。たくさんの仲間がいるはずなのに何も届かない、何も届けられない。そのため、世界で一番孤独だと言われている。(帯より引用)

貴湖が実家から抜け出して間もないころ、情緒不安定だった貴湖にシェアハウスのルームメイト美音子が「これ聞きな」と音楽プレーヤーを差し出した。

不思議と落ち着く、とそれ以来貴湖は気持ちが不安定になったときに聞くようになっていた。

 

52をどうしようか考えている矢先、東京時代の友人、美晴が貴湖の前に現れる。

 

美晴という貴湖に寄り添う人物が仲間入りし、さらに地元の大工、村中も協力して52が安心して暮らせるように解決の糸口を探り始める。

 

貴湖はこれまでの自分の「罪滅ぼし」として身を捧げるくらい奮闘するが、

彼女自身も自分の家族、人間関係を振り返り、過去を清算していくのである。

 

何しろ、貴湖こそ実母と義父に虐待され、さらには義父の介護も強制されて生きてきた。恋人と思っていた人物はとんでもないDV男だった。

人生を絶望していた貴湖にも、本当に救い出そうとした人間がいたのだ。

アンさんという、人間が。

感想

これ絶対読む人辛いだろ

貴湖も、52も、実の親から相当酷いことをされています。

52は通報されれば、身体的虐待で児童相談所は受理するだろうし、貴湖は精神的・経済的にかなり追い込まれています(しかも成人しても受けるからタチが悪い)。

特に貴湖の回想は度々入るのですが、こんなことされるの!?って健常な人は思うくらいのことをされています。

…でもごめんなさい。

貴湖の設定は現実味を帯びています(※私自身、児童虐待に関わる仕事した経験上、貴湖のような境遇の方は何人もいらっしゃいました)。

 

かなりシチュエーションや貴湖の心情(自分が悪いから相手が暴力をふるう)がリアルなので、ご自身の体験と重ねてしまうかもしれません。

救いは連鎖する

かなりリアルなストーリーです。

現実でこんなに上手くいくはずがないと思う方は多数いると思います。

暴力を受けて育った人は、なぜか成人しても暴力を振るわれるという話はよくあります。

 

だけど、貴湖を救おうとしたアンさん、美晴がいて、さらに52を救い出そうとした貴湖がいるのです。

 

作中で印象的なセリフがあります。

 

「放っておいたらそのまま死んでしまいそうだった」

 

これはかつて貴湖が言われ、そして貴湖が52を助ける理由としても言っています。

今度は貴湖が助ける番なのです。

 

アンさんの真心は、家族に愛されなかった貴湖にもきちんと伝わっています。

(アンさん自身もまた別問題で苦しい思いをしています)

 

人を孤独から救い出すことはできます。

そして救いも連鎖するのだと希望を見出せました。

 

もっとも、アンさんの真心を受け継いでいるのは美晴も同じだし、村中も持ち合わせています。

貴湖が気づいていない(人を信じてないので気づきにくい)のだと考えられます。

おススメ度:★★★★★

これはあらゆる方に読んでもらいたいです。

特に、自分の半生を振り返ったときに親から愛情を受けられてきたと思える方に。

全く知らない世界を知ることができます。

そして誰かに心から手を差し伸べることは偽善ではなく、本当にであることに気づくと思います。

 

一方で、虐待や暴力(言動含む)の供述がリアルなので、フラッシュバックする方もいるかもしれません。

この作品はどうしても読み手が自分自身の過去を振り返ってしまうところがあります。

そんなときは無理せず、一旦読むのを止めても良いです。

受け入れられるときに読めばよいのですから。

 

また、この本を勧めてくれた方は一気に読むことをすすめています。→白獅子さんの記事はこちら

最終的には明るくなるエンドなので、一気読みも断然ありです。

まとめ

  • 虐待の孤独から人が救い出される話
  • 救いは連鎖される
  • 読んでいると自分自身の過去を振り返ってしまう
  • 奇蹟は起きる

読んでいて引き込まれます。

さすが本屋大賞受賞

謝辞

この本を教えてくれた白獅子さん、本当にありがとうございます。

読んでて…まあ…なかなか辛かったと思います。

貴湖自身が過去を振り返ることで自分の気持ちを素直に吐き出していくのと同時に、きっと読んでいる私たちも色々振り返っちゃうんですよね。

そして貴湖と自分を対比してしまう。

私自身も自分の生い立ちを振り返りました。

最後に

今回は『52ヘルツのクジラたち』のレビューでした。

本屋が売りたい!というのも頷けます。著者さまの写実っぷりには脱帽です。

これはぜひとも、手に取って欲しい作品です。

 

それと、登場人物たちがなぜその行動をとったかの考察もしたくなります。

これを書きだすと長くなるので別記事にしたいな~、なんて思ってます。

 

最後まで読んでいただき、ありがとうございます!

それではっ

 

 

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