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『人生に疲れたらスペイン巡礼』を読んだ感想!【今にも心が折れそうな人へ】

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こんにちは、りりーです。

 

今回はなんとなく手に取ってみた本です。

そしたら予想の遥か上を行くほどのめり込んで読みました!

 

 

人生に疲れたらスペイン巡礼/小野美由紀

をレビューします。

『人生に疲れたらスペイン巡礼』の全体像

まずはどんな本かをポイントでまとめてみました。

  • 文の口調著者目線、明るい、スペインにまつわる話多し
  • 明るさ:★★★★
  • 読みやすさ:★★★★★(スペインのカタカナ多し)
  • ページ数234ページ(写真入りですぐに読めてしまう)
  • 本を一言で表すと人生、本当に疲れたらスペイン巡礼したくなる本

ちなみに新書なので携帯しやすいです。

内容

あらすじ

中央線、朝の通勤電車。いつものようにぎゅうぎゅうの車内に入ったはずなのに…。

突如溢れる涙。高鳴る心臓。乱れる呼吸。

気づけば電車を降りていた。

 

程なく、「パニック障害」と診断された。

 

何がいけなかったのだろう。

彼女は考えた。

 

しかし、答えは出てこなかった。

 

ある日、旅先で出会った教授の言葉を思い出した。

旅は、要らないものを捨てていく作業。

削いで削ぎ落して、最後に残ったものが自分。

 

その人から聞いた旅。カミーノ・デ・サンティアゴ

カミーノ・デ・サンティアゴ

サンティアゴ・デ・コンポステーラには、聖ヤコブ(スペイン語でサンティアゴ)の遺骸があるとされ、ローマ、エルサレムと並んでキリスト教の三大巡礼地に数えられている。

Wikipedia:「サンティアゴ・デ・コンポステーラの巡礼路」より一部引用

サンティアゴ巡礼は全ての人に開かれているものですので、宗教は問われません。目的が信仰のためだけでなく、スピリチュアルや自己啓発、観光やスポーツ、単なる目標達成のため巡礼をする人もいて、全ての人が受け入れられています。

そして巡礼路を辿って巡礼するのであれば、巡礼者の身分証明となるクレデンシャル(巡礼手帳)を携帯します。アルベルゲ等の宿泊施設に泊まると、巡礼手帳にスタンプが押され、集めたスタンプが巡礼の証明となります。巡礼手帳は宿泊施設や観光案内所、教区教会で入手できます。(日本では日本カミーノ・デ・サンティアゴ友の会が発行しています。)

日本カミーノ・デ・サンティアゴ友の会HP「サンティアゴ巡礼とは」より一部引用

一言で表すなら、スペイン版お遍路、というとイメージが付きやすいです。

巡礼路はシンプルで、至る所にある黄色い矢印に沿って道を行くだけ(800㎞)。

彼女はスペインに旅立つことを決めた。

 

待っていたのは800㎞の旅路。

国境を越えた心の通い合い。

 

そして、What is life?(人生とは何?)と幾度となく行う自分との対話。

感想

名言アンド名言

人間は言葉が完璧に伝わらなくても、想いは通じるものだなぁ…て思うのです。

Take your way!

止まりたい宿が満室だったことから著者があくせくしていた時に、見かねたアメリカ人女性がかけた言葉。

自分の思うがままに、という意味ではあるけど「自分のペースになりなさい」という意味が込められています。

たかだか薄っぺらいベッド1つのために焦って、何の意味があるのか

そんなに急いで歩いて、何がしたいの?

ハッと我に返る著者。女性のキツイ面立ちの向こうには、優しさがありました。

道中、800㎞あります。

速さを競うものではありません。

たとえ自分の理想通りの状況にならなくても、焦らずくさらずその状況を楽しむ。

そんなに神経質にピリピリしても、意味はないのです。

気持ちに余裕を持つ。これが大事なのかなと思いました。

逃げたっていいじゃないか!

これは著者がとあるメキシコ人に出会ったときのこと。

¿Por qué caminar?(なぜ歩くの?)

とカミーノ・デ・サンティアゴをやっている理由を問われたときに、

「私は…仕事から逃げたから」と声を振り絞って答えて、返ってきた言葉。

逃げたっていいじゃないか!僕だってライオンに会ったら逃げるよ!?

仕事は君にとってのライオンだったんだろう!?

逃げてあたり前だ!!と言わんばかりに主張するメキシコ人。

それを聞いて著者は涙を流します。

 

逃げてはいけないって刷り込まれている私たち。

しかし、本来なら「逃げる」も選択肢の一つなのです。

仕事からドロップアウトしたことへの罪悪感。そして認めたくない自分。

私も自分の境遇と重ねて涙腺がゆるんだ言葉です。

パンとハムとワインがあれば十分

スペインの名言。

スペイン人は自分らに何が本当に必要かを知っているのです。

足るを知る。

ものすごく具体的で好感が持てます(笑)。

 

スペインは日本より失業率は高いし、賃金も良いわけではない。

それなのに、人々がそんなに深刻そうではないのは十分を知っているからではないか…と著者は考えています。

自分はビンボーだとか、仕事が上手くいかないとか、本当は深刻な悩みではないのかもしれない。そう思わせてくれます。

人生の夏休みをカミーノ・デ・サンティアゴに費やしたくなる

スペイン版お遍路といわれるカミーノ・デ・サンティアゴ。

キリスト教徒でなくても、巡礼することは可能です。

また、費用も高額ではないのもポイントです。

 

あとは、スペインに行くか、行かないか

 

行って何になるの?という質問はナンセンス

 

自分が行きたいから、行く。

この旅の境地はそこに尽きるのかな、と読んでいて思いました。

 

お隣、韓国ではカミーノ・デ・サンティアゴが大ブームになったみたいですが、

理由なんて本当に何でもいいんだと思います。

公式も宗教や巡礼の方法(自転車・徒歩・車いす・馬などなど)を問わないとしています。

 

ただしこれは800㎞。

そして徒歩なので嫌でも自分との向き合いです。

 

プライドとか罪悪感で固められた心の鎧を外すことはできるのだと思います。

旅は捨てていく作業という冒頭の言葉が心の中にスッと入ってきます。

おススメ度:★★★★

これを本当にすすめたいのは人生で挫折を味わっている人です。

特に、仕事が合わずに辞めたいと思っている人や辞めた人、事情があって休職中の人です。

著者の境遇と自分自身を重ねて、文中で人々が投げかけるあたたかい言葉が自分に向かってくるように感じます。

 

また、この本には最愛の夫を亡くした老婦人も登場しています。

耐え難い困難に直面したときの一つの答えが、歩くことだったのです。

 

 

もちろん、カミーノ・デ・サンティアゴを初めて知る人、異国が好きな人、旅を求めている人は楽しく読めると思います。

新書なのに現地の写真も多く、ガイド的要素もあって読んでいて旅の雰囲気も味わえます。

逆に、カミーノ・デ・サンティアゴを知り尽くしていて現地の詳細な情報を知りたい方には不向きです。

著者の心境を主軸として書かれているので、ガイドブックそのものではないです。

まとめ

  • 本当に人生に疲れたらスペイン巡礼の価値アリ
  • 自分の悩み事がちっぽけになる
  • 自分の見たくないことが曝け出され、削ぎ落されるのが旅
  • 挫折を味わっている人に読んで欲しい一冊

著者の状況と自分を重ねてしまいます。

私も途中で仕事を辞めているので、著者の想いは他人事に感じません。

さいごに

あーーーーー

スペイン巡礼いきたいっ!!!

 

私はそう思ってしまいました。

 

今は新型コロナウィルスで世界は対応に追われていますが、

状況が落ち着いたらいかがでしょうか。

 

最後に、日本カミーノ・デ・サンティアゴ友の会も参考にしたのでURLを載せます。

https://camino-de-santiago.jp/

日本語で詳しく案内されているので、分かりやすいです。

 

それではっ

人生に疲れたらスペイン巡礼の旅/小野美由紀