奇抜な建築家、中村青司が建てた「十角館」。大分の孤島にそれは佇み、大学のミステリー研究会の人間達が集まる。一方で、島にいかなかった元ミス研の江南のもとに手紙が届く。「娘は殺されたのだ。中村青司」と。中村青司の娘、中村千織は江南が所属していた元ミス研に所属し、急性アルコール中毒で亡くなっていた。なお、千織の両親はある事件で変死している。いないはずの人間から手紙が届き、胸騒ぎを覚えた江南は怪文書の謎に迫るため、中村千織の叔父の元を訪ねるのだった。
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これは読む人が口々に激推しするのもわかるわ。
どんでん返しを好物とする人間には、これほどまで美味しい小説はないでしょう。
だまされた、見事に引っかかりました!!!
『十角館の殺人』はどんな作品?
おおかたの内容
大分の離れ小島に建つ十角館に大学のミス研が集まる
十角館は、本当に正十角形の建物。置いてあるカップも十角形。
合宿で意気揚々としていたのもつかの間、次々とメンバーが殺されていく。
メンバーは島に行ったばかりなので、怪文書が自分の元に届いているとは全く知らない。
余談だけど、携帯もない時代で十角館の電話線は切られているので完全に陸から切り離されている(定番)。
本土側では中村青司の死と千織の関係にせまる
千織の叔父、中村青司の弟である中村紅次郎を訪ねた江南はそこで本シリーズの名探偵役島田潔に会う。
怪文書に興味を持ってしまった島田に半ば強引につきあわされるように謎解きにかかわる。ちょうど十角館がある島の近くに住む、同大ミス研の守須にも江南は怪文書について尋ねる。
実は十角館がある島には青屋敷という建物がもう一つあった。
そこで中村青司は焼死している。
なお、奥さんと使用人もいて、彼らは殺されている。その上館ごと焼かれている。
怪文書と十角館と中村青司の変死、何が関係しているのか?
作者:綾辻行人
(画像はモルカースタンドHPのものを利用)
超面白いミステリーを書く作家。ぷいぷいに目がない。
ホラーミステリーである『Another』はアニメ化もされている。
『十角館の殺人』もそうだけど、『迷路館の殺人』等「館シリーズ」も有名。
そして十角館がデビュー作。すごい(小並感)。
今夕も喫茶店。テディがついてきました。 pic.twitter.com/Zyy5gSw2bN
— 綾辻行人 (@ayatsujiyukito) October 20, 2022
ご本人のTwitterも必見!
見どころ
エラリィ、ポゥ、アガサ…著名作家のあだ名で呼び合う
若気の至りだなぁ自分も高校時代の部活では部名(部活内でのあだ名)を決めてそれで呼び合っていたので、サークル内でそう呼び合うのは分かる。だがしかし、おかげで本名出されると誰のことを指しているか全くわからん!
しかしこの縛りがないと話は成り立たない。
なお、謎を追いかける江南くんのあだ名は「ドイル」ですwコナンwwwwwwそのまんまwwww
これがあの一行の…大事な伏線になるなんて
十角館にはある秘密が…
実は先に『迷路館の殺人』を読んでいたので期待をしておりました。
ぷいぷいのミステリーの大御所綾辻センセは期待を裏切りません!!
もうこの際だから書きます!!!
十角館には秘密があります!!!!!
これだけならあまり大きなネタバレにはならないと思うのでハッキリ書きました。
(今更感は否めないです)
ですがどんな秘密かは読んでお確かめください。
(ネタがわかったあとに本当に気づかないのか調べてみました。言われないとこれ気づきませんわ…)
なにか隠してそうな叔父
あからさま過ぎて、もう、ね。
千織と家族の関係性に迫ってきて、
もうこれ叔父が犯人やろ!!!
…と思うほど真実は甘くないです。
叔父が怪しいと思ったんですけどね。。。
あの一行
これがあるか、ないかで物語の見え方が変わります。
つまりどんでん返し発動の文章です。
イメージとしては『ルビンの壺が割れた/宿野かほる』を彷彿とさせるような衝撃です。見事でした。
なんで、そこを思い至らなかったのだろう、と思います。
この作品は「思い込み」がどれだけ視野を狭くさせるかを痛感させてくれます。
語られないところには着目しないといけないです。
最後に
冒頭にて「枠組みが大事だ」と犯人が心境を語っているのですが、まさにそう思います。
すべてがわかった上で再度読み直すと、見え方が変わります。
まさか順序という枝葉ではなく枠組みという全体が大事なこともあるのだと小説から教わるなんて。発見がいっぱいです。
十角館の殺人、読んで「トリハダが立った」「衝撃的だった」という感想をちらほら見かけていたのでずっと気になっていました。
この度しっかり読むことができて良かったです。
図書館だと借りられてるかもしれないし、予約でも何人待ちになっているか分からないです。
個人的には、買って良かったと思っています。家族にもおすすめしたい本です。
これで「館シリーズ」を心置きなく読めます。
また読んだら感想あげます。
『十角館の殺人』はたしかにおすすめです!
あの一行もトリハダ!ミステリー好きを名乗るなら必読!名乗らなくても必読!
感想を誰かに話したくなる一冊です。
ぜひお試しを!